ヌエックは、10人以上の宿泊者がいないと、宿泊を断ることがわかった。
今日までが、行政不服審査請求の意見書提出の期限であるため、改めてそのことを書き加えた。
ヌエック・ヌエック・ヌエックでこの夏は終わろうとしている。
情報公開・個人情報保護審査会御中
第1、はじめに
本意見書では、国立女性教育会館(以後、ヌエックとする)の移転ないしは閉館にかかる協議内容のメモの一部不開示処分(以下、本件処分1とする)、並びに国立女性教育会館公共施設等運営権実施変更契約書(以下、本件処分2とする)及び国立女性教育会館公共施設運営権実施業務報告書(平成28年度から令和4年度)(以下、本件処分3とする)などの情報公開が必要である背景事情、そのことにかかるヌエックの説明責任の欠如、一部不開示、非公開処分の恣意的な違法性、インカメラ方式による審査の請求、を記し、一部不開示、全部非開示の取り消しを求める。
第2、 一部非公開・全部非公開処分の背景事情
1、内閣府男女共同参画局等から嵐山町のヌエック閉館等についての方向性説明
(1)内閣府等によるヌエック移転の打診
情報公開請求時以前の令和5年11月29日、ヌエックは機能強化という名目の元、文部科学省職員、内閣府男女共同参画局職員、埼玉県職員、国立女性教育会館職員等によって、嵐山町長佐久間孝光氏に嵐山町からのヌエックの交通の便の良い都市への移転、または、嵐山町への譲渡について、説明が行われた。嵐山町関係者および県関係者には、ヌエックが存続することは当然のことであり、閉館・移転・譲渡などは考えもしないことであった。
(2)ヌエック移転に関する地元の困惑
嵐山町議会・近隣市町村議会・埼玉県議会等より、国に対して、ヌエックの嵐山町存続の意見書が提出された。市民レベルでは申立人を含む女性地方議員等によって嵐山町での国立女性教育会館の存続を求める請願の署名及びweb署名が集められ4月12日及び8月7日に届けた。3月以降、嵐山町、埼玉県、内閣府等との協議が月1回ペースで行われた。
(3)内閣府男女共同参画局によるヌエック施設の今後について公表
令和6年7月30日に、岡田恵子内閣府男女共同参画局長より、嵐山町から移動しないことが埼玉県庁において公表された。名称変更し、ヌエック本館を男女共同参画センターのナショナルセンターとして位置付けること、2030年までに研修棟、宿泊棟、体育館等を更地にし、埼玉県に返還すること、食堂を大講堂に、実技棟を会議室に改修すること、ヌエックは、行政職員関係者の研修をオンラインでも行い機能強化を図ること、新たな大講堂、会議室は、地域に開放することが話され、ヌエックHP上で令和7年3月31日より、食堂及び宿泊棟は利用できないことが公表された。
2、ヌエックの設立の歴史と、稼働率による評価、施設老朽化について
(1)ヌエックの国の位置付けと利用者の位置付け
1977年、国連婦人の10年の施策の一環として女性のための生涯学習に関する日本唯一の国立の施設「国立婦人教育会館」を、婦人教育、家庭教育に関する実践的な研修と専門的な調査研究を目的として嵐山町に設置した。実践的な婦人教育にかかる研修機関として当初は日本各地から、行政職員及び婦人団体の代表等が各地から出向いていた。都心から1時間、最寄駅から歩いていける自然環境豊かな地域として、国際事業・国際交流が展開でき、バリアフリー、生活者としての教養・スポーツ・文化・芸術を学ぶことができる施設である。
一方で、完製フェミニズムを警戒した市川房枝氏。田中寿美子氏等は、国立婦人教育会館の建設に反対していた。婦人運動家の批判もあり、国立婦人教育会館は、女性の出会いと自発的な学習も重視し、宿泊棟を生かした婦人の学習権を保障する施設でもあった。
(2)稼働率による事業評価
行政改革によって、ヌエックは、事業目的の評価よりも研修棟及び宿泊等の稼働率で評価されることになる。2007年には蓮舫議員によるヌエックの事業仕分けは、メディアによって大きく報道された。宿泊棟等の稼働率で評価されるべき事業ではなく、市民の学習権及び女性教育にどのように効果的な関与ができたかの指標で測られるべきだが、宿泊率で評価されている。
施設の利用率によって事業評価されること、運営費が、施設建設後30年を経過し、施設の老朽化によって、改修費等に予算支出が嵩むようになった。行政改革により、PFI事業を導入することが決定された。平成27年7月より、ヌエックベストサポートとPFI事業契約を結び、施設運営に関し、ヌエック事業に支障がない範囲で、男女共同参画以外の事業の利用を行っても良いこと、目的外の事業に対し積極的な営業を行い、コロナ禍前は、利用率は目的にほぼ達していたという。ヌエック利用者の日帰り利用者数、宿泊利用者数の報告はあるが、独立行政法人国立女性教育会館法第11条及び11条の2について、目的利用者数の宿泊者数、日帰り利用者数。並びに一般宿泊者数、日帰り利用者数が不明である。利用施設は不明である。小中高生の利用、企業の利用、宗教団体の利用、障がいのある人の団体利用もある。ヌエックの事業評価をこのような雑な視点で行うべきではなく、本来の事業評価として、目標値の達成度等が必要だが、その事業報告はなされていない。
(3)施設老朽化について
施設建設後、47年の経過による老朽化対策として施設改修費の整備計画案及び予算案は、公共施設管理者であれば、必要な配慮事項である。しかし、ヌエックの施設老朽化については、各年度における施工された改修事業の一覧はない。施行された老朽化への改修は、申立人の情報公開請求による工事契約書より作成した令和元年からの請負工事契約表によって明らかになった。財務諸表等では、明示されない事項である。2030年度までには、研修棟、宿泊棟、体育館を壊し更地にして埼玉県に返却するという政策を打ち出しているが、本来の目的利用の男女共同参画と目的外利用の国民の施設利用学習権の剥奪に対して、代替え措置はない。加えて、老朽化への緊急的な対応についても、令和3年度インフラ長寿命化計画によって、施設の老朽化度が漠然と示されているのみである。
(4)内閣府のヌエック位置付けと利用者との乖離
上記1、2、3の通り、ヌエック宿泊棟、研修棟、体育館等について2030年に更地し、件に返却する政府方針に対して、申立人を含むヌエック利用者は、利用者数、施設老朽化度、施設の稼働率等について検証し、国民として、利用者として、今後の施設のあり方を具申したい。ソフト面においても、ハード面においても国立女性教育会館の実情を知りたいが、必要な数値が公開されていない。本件情報公開請求非開示処分の取り消しを求める背景事情である。
第3、 ヌエックの説明責任の欠如について
1、 本件処分1について
(1)行政手続法による本件理由附記が不十分であること
本件処分1について、法第1条には「国民主権により独立行政法人の諸活動を国民に説明する責務を全うすることを目的とすること」が定められている。第5条において開示義務を定めており、除外事項に該当する場合は、開示を拒否することができるものである。一方、行政手続法第14条1項において「行政庁は、不利益処分をする場合には、その名宛人に対し、同時に、当該不利益処分の理由を示さなければならない」と規定し、理由を付記しない不利益処分は行政手続法に違反するものとして抗告訴訟において取り消されるものとされている。情報公開非公開処分不利益処分するにあたって、理由附記としてどの程度のことについて記載すべきかが問題となる(参考資料:自治体法務研究2011・冬より)。本件処分1の部分非開示処分は、恣意で、開示義務を否定し、国民の知る権利を阻害するものであるから理由附記において、適切に説明がなされなければならないものである。本件処分1の理由附記では「公にすることにより、国、県との率直な意見交換が不当に損なわれる恐れがあるため」と法第5条第3項の条文が記してあるのみである。
(2)審査会に提出したヌエックの理由説明の不十分性について
ヌエックが審査会に提出した理由説明書、「公開を前提としておらず、現在の検討状況との関係がそれだけでは判然としない途中過程の情報であるため、公にされることにより、外部からの誤解や憶測を招くとともに、地域住民その他の関係者の不安をイタズラに煽る可能性がある。そうした誤解や憶測の内容によっては、国、県が率直に意見を表明しにくくなることも考えられ、現在行なっている調整や検討が滞るおそれがある。」と記してある。この理由は本件処分1には付記されていない。行政手続法の理由附記として、不備がある。
また、メモは公開を前提とされずとも、公文書である。
ヌエックは、47年間、嵐山町に存続し、累計の国費投入額は概算でも600億円以上になると推測される。地域住民及び利用者には、ヌエックが嵐山町から存在しなくなることは、想定外のことであり、議論が起きるのは当然のことである。議論が起きることを予測して、部分非公開とすることはヌエックの移転及び縮小についての経過を知らすこともなく、政策決定することである。本件処分1は恣意性が強く、その経過を隠蔽するものであり、著しく、公正性、透明性を欠く。
(3)インカメラ方式による審査を求める
審査会においては、インカメラ方式で、メモの内容を審査し「国、県が率直に意見を表明しにくくなることも考えられ、現在行なっている調整や検討が滞る怖れ」が実際に発生するか検討が必要である。公開することによって政策の方向性の変更を求めるのは国民としては当然の理である。議論にふたをしないための公正さ、透明性の確保の確認が必要である。現在では、情報公開請求を行ってから、200日以上を経過し、政策の方向性が7月30日に示されており、事実経過を明白にすべきである。
2、 本件処分2について
(1) 不服申立て書の誤記の訂正
不服申立書P3の下から5行の令和6年3月31日を令和7年3月31日に変更する。
(2) 理由附記の不十分性について
本件処分2の理由附記は、公にすることにより、ヌエックベストサポー トの権利、競争上の地位、その他正当な利益を害する恐れがあるため(法第5条第2条イ)と、法条項の定めを記しているのみでであったが、審査会がヌエックに求めた理由説明書には「当該変更契約は、申立人が憶測する随意契約による延長ではなく、PFI事業者の経営に関する具体的な取り扱いを定めたものである」と記してある。本件処分の理由附記が不十分であり不備であり、本件処分は取り消されなければならない。
(3)貴審査会への理由説明について
ヌエックの理由説明では「PFI事業者の経営に関する具体的な取り扱いを定めたものである」と記されている。PFI事業の具体的な取り扱いについては、平成27年7月1日締結の国立女性教育会館公共施設等運営権実施契約書、並びに施設・設備長期維持管理業務委託契約書は公開されており、具体的な取り扱いについての定めであろうと、公開されなければならないものである。また、ヌエックベストサポートの権利と競争上の地位、その他正当な利益が発生する蓋然性についての具体的な理由は記されていない。PFI事業についてはWEB上で検索しても多数掲載されている。
例としてあげると埼玉県内市町村では所沢市学校給食再整備事業(https://www.city.tokorozawa.saitama.jp/kosodatekyouiku/kyoiku/gakkokyoiku/gakkoukyoiku6/kyuusyokusennta-saiseibi.html)、
千葉県では八幡宿駅西口複合施設等PFI事業事業契約書(案)https://prdurbanosichapp1.blob.core.windows.net/common-article/61b931cf5da6af55bf162659/修正資料5-1_事業契約書%28案%29.pdf等多数掲載されている。上記案件等と本件処分2の違いは明瞭である。WEBで公開する自治体等は、国民、利用者に対し何も隠さず知らせる機会設けていること、一方、ヌエックにおいては、国民に対し、除外事項を理由に不公正、不透明な運営を続けていることである。ヌエック提出の理由では、ヌエックベストサポートの権利、競争上の地位、その他正当な利益を害する恐れの具体性、蓋然性はないことは明らかである。
申立人は、令和5年12月から1月にかけ、ヌエック館長が、ヌエックベストサポート職員及びボランティアに対して、令和7年3月31日にはヌエックは移動し、閉館することを述べていることを聞いている。ヌエックで生活の糧を得ている人にとっては、極めて重要なことであり、閉館するのであるならば、職を失うことになり、新たな職を探さなければならない。管理者として、失職の可能性について知らせることは当然の行為である。申立人の見聞事実に対し、内閣府職員及び、ヌエック側は、そのことについては異なる「新聞記事が間違っている」ことを説明したのみであると釈明している。令和5年6月23日付の変更契約書の公開によって、どのような事実があったのか明白になる。
(4) 宿泊棟の利用等についての契約について
9月2日現在、11月15日に宿泊棟の予約の連絡を入れたが、他の利用
団体がいないため、予約できないという回答であった。利用の在り方、ヌ
エックベストサポートへの委託条件等の契約が交わされていることが予測で
きる。令和5年6月23日付の変更契約書の公開で明白になるため、本件処
分2の情報公開は必須である。
(5) インカメラによる審査の必要性
ヌエックの理由は、本件処分2の時点で、すでに不備がある。よって、本件処分は取り消されるべきであり、インカメラによる審査を求める。
3、 本件処分3について
(1) 理由附記の不備について
本件処分3について、不服申立書には、いずれも、文書の特定ができていないことを記したが、そのことについて審査会へのヌエックの理由説明では、何も記しておらず、「業務実績報告書には、施設利用率を向上させるための取り組みの具体的内容や各種業務マニュアルなどの経営ノウハウが記載されている。さらに今回の開示請求にあたり、PFI事業者に開示の可否について問い合わせたところ、開示を前提として作成されたものではないため、不開示を希望するということであった。これを公開することで競合相手にノウハウが漏れ伝わり、事業者の利益が害される恐れがあることから、不開示とした。と記されている。
ヌエック側は、申立人の情報公開請求時に、どのような事業報告書等が存在し、申立人が欲しい情報の有無について説明はなく、単にPFI事業者の利益のみが理由として説明されている。
ヌエックが、事業者に事業報告書を求めるには、営業部門のノウハウも含まれるであろうが、利用者情報も含まれることは当然である。
全部非開示処分の理由附記では法第1条の説明責任の責務は、全うされていないことが明らかである。
(2)事業報告書とPFI事業の評価について
申立人は男女共同参画関係の利用者数、その他の利用者数が、不明であること、コロナ禍もあり、オンライン事業が続いたこと、令和4年度においては、研修棟、宿泊棟等は開放されたが、ヌエック事業は全てオンラインであったこと、この点についての検証がなされておらず、検証・評価を利用者レベルで行うことの必要性を強く感じている。
本件処分3の情報公開請求は、平成28年度から令和4年度までの事業報告書の開示でその事実を明らかにすることが目的である。
ヌエックからの審査会への理由説明においてもそのことについては触れられてなく、PFI事業に対しての不利益の怖れを記しているが、具体性はない。
(3)事業者側からの公開拒否について
本件処分3の情報によって、利用者側からのヌエック評価は可能である。請求人は、現在においても必要な情報を特定できていない。
審査会にたいするヌエックの理由説明ではPFI事業者による公開への否認が記されている。法第14条2より、事業者に対して意見を求めたことが考えられるが、その点について文書であるか否かの記載はない。法第14条の3のトにおいて、反対の意思を表明したにもかかわらず開示決定する場合についての記載がある。
請求人は、事業者の営業のノウハウは、情報として必要はない。したがって、審査会においてインカメラ方式で、すべての事業報告書を審査し、部分公開を求めることは可能である。
NWECのHPには令和7年度から、宿泊棟及び食堂の閉鎖が記載されているが、国からの財務評価のみではなく、国民、利用者としての検証が必要である。ヌエックのあり方に関しては利用者、国民からのパブリックコメントを実施していない。47年間の実績のあるヌエックでの生涯学習の権利が国民にどのように活用され、展開されたかについての評価・検証は、国民の学習権の保障を紐解くために必要な情報である。
(4) PFI 事業の事業報告について
一般に、事業報告書等について、公開を前提としていない情報であっても、事業者の受ける不利益と、公開することによる公共の福祉への貢献を衡量することによって公開することによる公共の福祉への貢献度が高い場合、公開処分せざるを得ない。他のPFI事業においてもWEB上で公開している事業もある。
4、 国立女性教育会館入札結果書について
理由説明書において国立女性教育会館入札結果書については、誤って開示内容から漏れていたため、速やかにホームページ上に掲載した上で、請求者に連絡するということであったが、請求人には、そのことについての直接的な連絡はヌエックからはうけていない。250万円以上の請負契約についての情報をHP上で見つけ、驚いた次第である。
250万円以上の契約状況について、HP上に掲載されていることが、情報公開請求時に、担当者から知らされていれば、情報公開手数料26,970円を支出することなく、情報提供により知ることは可能であった。残念である。
第、4 まとめ、
法第1条において、「国民主権の理念に則り、諸活動を国民に説明する責務が全うされることを目的とする」とされている。ヌエック設立後、47年経過した現在、利用者における学習権の活用と国における女性教育指導者の研修とに大きな齟齬が生じている。請求人は、利用者の1人、地域住民の1人として、事業評価等を行い、課題把握に努めている。そのためには、本件処分1、2、3が開示され、広く国民に情報提供される必要がある。一方的な事業者の不利益に対する保護、国・県職員との率直な意見交換が意思決定の中立性が不当に損なわれるとする理由附記は、不十分であり、国のヌエックの閉鎖の政策を維持するための恣意性が強い。よって、速やかに本件処分を取りけし、情報提供をおこなうことを求める。
今日までが、行政不服審査請求の意見書提出の期限であるため、改めてそのことを書き加えた。
ヌエック・ヌエック・ヌエックでこの夏は終わろうとしている。
情報公開・個人情報保護審査会御中
令和6年(独情)諮問第78号請求人
渋谷登美子
渋谷登美子
意見書
第1、はじめに
本意見書では、国立女性教育会館(以後、ヌエックとする)の移転ないしは閉館にかかる協議内容のメモの一部不開示処分(以下、本件処分1とする)、並びに国立女性教育会館公共施設等運営権実施変更契約書(以下、本件処分2とする)及び国立女性教育会館公共施設運営権実施業務報告書(平成28年度から令和4年度)(以下、本件処分3とする)などの情報公開が必要である背景事情、そのことにかかるヌエックの説明責任の欠如、一部不開示、非公開処分の恣意的な違法性、インカメラ方式による審査の請求、を記し、一部不開示、全部非開示の取り消しを求める。
第2、 一部非公開・全部非公開処分の背景事情
1、内閣府男女共同参画局等から嵐山町のヌエック閉館等についての方向性説明
(1)内閣府等によるヌエック移転の打診
情報公開請求時以前の令和5年11月29日、ヌエックは機能強化という名目の元、文部科学省職員、内閣府男女共同参画局職員、埼玉県職員、国立女性教育会館職員等によって、嵐山町長佐久間孝光氏に嵐山町からのヌエックの交通の便の良い都市への移転、または、嵐山町への譲渡について、説明が行われた。嵐山町関係者および県関係者には、ヌエックが存続することは当然のことであり、閉館・移転・譲渡などは考えもしないことであった。
(2)ヌエック移転に関する地元の困惑
嵐山町議会・近隣市町村議会・埼玉県議会等より、国に対して、ヌエックの嵐山町存続の意見書が提出された。市民レベルでは申立人を含む女性地方議員等によって嵐山町での国立女性教育会館の存続を求める請願の署名及びweb署名が集められ4月12日及び8月7日に届けた。3月以降、嵐山町、埼玉県、内閣府等との協議が月1回ペースで行われた。
(3)内閣府男女共同参画局によるヌエック施設の今後について公表
令和6年7月30日に、岡田恵子内閣府男女共同参画局長より、嵐山町から移動しないことが埼玉県庁において公表された。名称変更し、ヌエック本館を男女共同参画センターのナショナルセンターとして位置付けること、2030年までに研修棟、宿泊棟、体育館等を更地にし、埼玉県に返還すること、食堂を大講堂に、実技棟を会議室に改修すること、ヌエックは、行政職員関係者の研修をオンラインでも行い機能強化を図ること、新たな大講堂、会議室は、地域に開放することが話され、ヌエックHP上で令和7年3月31日より、食堂及び宿泊棟は利用できないことが公表された。
2、ヌエックの設立の歴史と、稼働率による評価、施設老朽化について
(1)ヌエックの国の位置付けと利用者の位置付け
1977年、国連婦人の10年の施策の一環として女性のための生涯学習に関する日本唯一の国立の施設「国立婦人教育会館」を、婦人教育、家庭教育に関する実践的な研修と専門的な調査研究を目的として嵐山町に設置した。実践的な婦人教育にかかる研修機関として当初は日本各地から、行政職員及び婦人団体の代表等が各地から出向いていた。都心から1時間、最寄駅から歩いていける自然環境豊かな地域として、国際事業・国際交流が展開でき、バリアフリー、生活者としての教養・スポーツ・文化・芸術を学ぶことができる施設である。
一方で、完製フェミニズムを警戒した市川房枝氏。田中寿美子氏等は、国立婦人教育会館の建設に反対していた。婦人運動家の批判もあり、国立婦人教育会館は、女性の出会いと自発的な学習も重視し、宿泊棟を生かした婦人の学習権を保障する施設でもあった。
(2)稼働率による事業評価
行政改革によって、ヌエックは、事業目的の評価よりも研修棟及び宿泊等の稼働率で評価されることになる。2007年には蓮舫議員によるヌエックの事業仕分けは、メディアによって大きく報道された。宿泊棟等の稼働率で評価されるべき事業ではなく、市民の学習権及び女性教育にどのように効果的な関与ができたかの指標で測られるべきだが、宿泊率で評価されている。
施設の利用率によって事業評価されること、運営費が、施設建設後30年を経過し、施設の老朽化によって、改修費等に予算支出が嵩むようになった。行政改革により、PFI事業を導入することが決定された。平成27年7月より、ヌエックベストサポートとPFI事業契約を結び、施設運営に関し、ヌエック事業に支障がない範囲で、男女共同参画以外の事業の利用を行っても良いこと、目的外の事業に対し積極的な営業を行い、コロナ禍前は、利用率は目的にほぼ達していたという。ヌエック利用者の日帰り利用者数、宿泊利用者数の報告はあるが、独立行政法人国立女性教育会館法第11条及び11条の2について、目的利用者数の宿泊者数、日帰り利用者数。並びに一般宿泊者数、日帰り利用者数が不明である。利用施設は不明である。小中高生の利用、企業の利用、宗教団体の利用、障がいのある人の団体利用もある。ヌエックの事業評価をこのような雑な視点で行うべきではなく、本来の事業評価として、目標値の達成度等が必要だが、その事業報告はなされていない。
(3)施設老朽化について
施設建設後、47年の経過による老朽化対策として施設改修費の整備計画案及び予算案は、公共施設管理者であれば、必要な配慮事項である。しかし、ヌエックの施設老朽化については、各年度における施工された改修事業の一覧はない。施行された老朽化への改修は、申立人の情報公開請求による工事契約書より作成した令和元年からの請負工事契約表によって明らかになった。財務諸表等では、明示されない事項である。2030年度までには、研修棟、宿泊棟、体育館を壊し更地にして埼玉県に返却するという政策を打ち出しているが、本来の目的利用の男女共同参画と目的外利用の国民の施設利用学習権の剥奪に対して、代替え措置はない。加えて、老朽化への緊急的な対応についても、令和3年度インフラ長寿命化計画によって、施設の老朽化度が漠然と示されているのみである。
(4)内閣府のヌエック位置付けと利用者との乖離
上記1、2、3の通り、ヌエック宿泊棟、研修棟、体育館等について2030年に更地し、件に返却する政府方針に対して、申立人を含むヌエック利用者は、利用者数、施設老朽化度、施設の稼働率等について検証し、国民として、利用者として、今後の施設のあり方を具申したい。ソフト面においても、ハード面においても国立女性教育会館の実情を知りたいが、必要な数値が公開されていない。本件情報公開請求非開示処分の取り消しを求める背景事情である。
第3、 ヌエックの説明責任の欠如について
1、 本件処分1について
(1)行政手続法による本件理由附記が不十分であること
本件処分1について、法第1条には「国民主権により独立行政法人の諸活動を国民に説明する責務を全うすることを目的とすること」が定められている。第5条において開示義務を定めており、除外事項に該当する場合は、開示を拒否することができるものである。一方、行政手続法第14条1項において「行政庁は、不利益処分をする場合には、その名宛人に対し、同時に、当該不利益処分の理由を示さなければならない」と規定し、理由を付記しない不利益処分は行政手続法に違反するものとして抗告訴訟において取り消されるものとされている。情報公開非公開処分不利益処分するにあたって、理由附記としてどの程度のことについて記載すべきかが問題となる(参考資料:自治体法務研究2011・冬より)。本件処分1の部分非開示処分は、恣意で、開示義務を否定し、国民の知る権利を阻害するものであるから理由附記において、適切に説明がなされなければならないものである。本件処分1の理由附記では「公にすることにより、国、県との率直な意見交換が不当に損なわれる恐れがあるため」と法第5条第3項の条文が記してあるのみである。
(2)審査会に提出したヌエックの理由説明の不十分性について
ヌエックが審査会に提出した理由説明書、「公開を前提としておらず、現在の検討状況との関係がそれだけでは判然としない途中過程の情報であるため、公にされることにより、外部からの誤解や憶測を招くとともに、地域住民その他の関係者の不安をイタズラに煽る可能性がある。そうした誤解や憶測の内容によっては、国、県が率直に意見を表明しにくくなることも考えられ、現在行なっている調整や検討が滞るおそれがある。」と記してある。この理由は本件処分1には付記されていない。行政手続法の理由附記として、不備がある。
また、メモは公開を前提とされずとも、公文書である。
ヌエックは、47年間、嵐山町に存続し、累計の国費投入額は概算でも600億円以上になると推測される。地域住民及び利用者には、ヌエックが嵐山町から存在しなくなることは、想定外のことであり、議論が起きるのは当然のことである。議論が起きることを予測して、部分非公開とすることはヌエックの移転及び縮小についての経過を知らすこともなく、政策決定することである。本件処分1は恣意性が強く、その経過を隠蔽するものであり、著しく、公正性、透明性を欠く。
(3)インカメラ方式による審査を求める
審査会においては、インカメラ方式で、メモの内容を審査し「国、県が率直に意見を表明しにくくなることも考えられ、現在行なっている調整や検討が滞る怖れ」が実際に発生するか検討が必要である。公開することによって政策の方向性の変更を求めるのは国民としては当然の理である。議論にふたをしないための公正さ、透明性の確保の確認が必要である。現在では、情報公開請求を行ってから、200日以上を経過し、政策の方向性が7月30日に示されており、事実経過を明白にすべきである。
2、 本件処分2について
(1) 不服申立て書の誤記の訂正
不服申立書P3の下から5行の令和6年3月31日を令和7年3月31日に変更する。
(2) 理由附記の不十分性について
本件処分2の理由附記は、公にすることにより、ヌエックベストサポー トの権利、競争上の地位、その他正当な利益を害する恐れがあるため(法第5条第2条イ)と、法条項の定めを記しているのみでであったが、審査会がヌエックに求めた理由説明書には「当該変更契約は、申立人が憶測する随意契約による延長ではなく、PFI事業者の経営に関する具体的な取り扱いを定めたものである」と記してある。本件処分の理由附記が不十分であり不備であり、本件処分は取り消されなければならない。
(3)貴審査会への理由説明について
ヌエックの理由説明では「PFI事業者の経営に関する具体的な取り扱いを定めたものである」と記されている。PFI事業の具体的な取り扱いについては、平成27年7月1日締結の国立女性教育会館公共施設等運営権実施契約書、並びに施設・設備長期維持管理業務委託契約書は公開されており、具体的な取り扱いについての定めであろうと、公開されなければならないものである。また、ヌエックベストサポートの権利と競争上の地位、その他正当な利益が発生する蓋然性についての具体的な理由は記されていない。PFI事業についてはWEB上で検索しても多数掲載されている。
例としてあげると埼玉県内市町村では所沢市学校給食再整備事業(https://www.city.tokorozawa.saitama.jp/kosodatekyouiku/kyoiku/gakkokyoiku/gakkoukyoiku6/kyuusyokusennta-saiseibi.html)、
千葉県では八幡宿駅西口複合施設等PFI事業事業契約書(案)https://prdurbanosichapp1.blob.core.windows.net/common-article/61b931cf5da6af55bf162659/修正資料5-1_事業契約書%28案%29.pdf等多数掲載されている。上記案件等と本件処分2の違いは明瞭である。WEBで公開する自治体等は、国民、利用者に対し何も隠さず知らせる機会設けていること、一方、ヌエックにおいては、国民に対し、除外事項を理由に不公正、不透明な運営を続けていることである。ヌエック提出の理由では、ヌエックベストサポートの権利、競争上の地位、その他正当な利益を害する恐れの具体性、蓋然性はないことは明らかである。
申立人は、令和5年12月から1月にかけ、ヌエック館長が、ヌエックベストサポート職員及びボランティアに対して、令和7年3月31日にはヌエックは移動し、閉館することを述べていることを聞いている。ヌエックで生活の糧を得ている人にとっては、極めて重要なことであり、閉館するのであるならば、職を失うことになり、新たな職を探さなければならない。管理者として、失職の可能性について知らせることは当然の行為である。申立人の見聞事実に対し、内閣府職員及び、ヌエック側は、そのことについては異なる「新聞記事が間違っている」ことを説明したのみであると釈明している。令和5年6月23日付の変更契約書の公開によって、どのような事実があったのか明白になる。
(4) 宿泊棟の利用等についての契約について
9月2日現在、11月15日に宿泊棟の予約の連絡を入れたが、他の利用
団体がいないため、予約できないという回答であった。利用の在り方、ヌ
エックベストサポートへの委託条件等の契約が交わされていることが予測で
きる。令和5年6月23日付の変更契約書の公開で明白になるため、本件処
分2の情報公開は必須である。
(5) インカメラによる審査の必要性
ヌエックの理由は、本件処分2の時点で、すでに不備がある。よって、本件処分は取り消されるべきであり、インカメラによる審査を求める。
3、 本件処分3について
(1) 理由附記の不備について
本件処分3について、不服申立書には、いずれも、文書の特定ができていないことを記したが、そのことについて審査会へのヌエックの理由説明では、何も記しておらず、「業務実績報告書には、施設利用率を向上させるための取り組みの具体的内容や各種業務マニュアルなどの経営ノウハウが記載されている。さらに今回の開示請求にあたり、PFI事業者に開示の可否について問い合わせたところ、開示を前提として作成されたものではないため、不開示を希望するということであった。これを公開することで競合相手にノウハウが漏れ伝わり、事業者の利益が害される恐れがあることから、不開示とした。と記されている。
ヌエック側は、申立人の情報公開請求時に、どのような事業報告書等が存在し、申立人が欲しい情報の有無について説明はなく、単にPFI事業者の利益のみが理由として説明されている。
ヌエックが、事業者に事業報告書を求めるには、営業部門のノウハウも含まれるであろうが、利用者情報も含まれることは当然である。
全部非開示処分の理由附記では法第1条の説明責任の責務は、全うされていないことが明らかである。
(2)事業報告書とPFI事業の評価について
申立人は男女共同参画関係の利用者数、その他の利用者数が、不明であること、コロナ禍もあり、オンライン事業が続いたこと、令和4年度においては、研修棟、宿泊棟等は開放されたが、ヌエック事業は全てオンラインであったこと、この点についての検証がなされておらず、検証・評価を利用者レベルで行うことの必要性を強く感じている。
本件処分3の情報公開請求は、平成28年度から令和4年度までの事業報告書の開示でその事実を明らかにすることが目的である。
ヌエックからの審査会への理由説明においてもそのことについては触れられてなく、PFI事業に対しての不利益の怖れを記しているが、具体性はない。
(3)事業者側からの公開拒否について
本件処分3の情報によって、利用者側からのヌエック評価は可能である。請求人は、現在においても必要な情報を特定できていない。
審査会にたいするヌエックの理由説明ではPFI事業者による公開への否認が記されている。法第14条2より、事業者に対して意見を求めたことが考えられるが、その点について文書であるか否かの記載はない。法第14条の3のトにおいて、反対の意思を表明したにもかかわらず開示決定する場合についての記載がある。
請求人は、事業者の営業のノウハウは、情報として必要はない。したがって、審査会においてインカメラ方式で、すべての事業報告書を審査し、部分公開を求めることは可能である。
NWECのHPには令和7年度から、宿泊棟及び食堂の閉鎖が記載されているが、国からの財務評価のみではなく、国民、利用者としての検証が必要である。ヌエックのあり方に関しては利用者、国民からのパブリックコメントを実施していない。47年間の実績のあるヌエックでの生涯学習の権利が国民にどのように活用され、展開されたかについての評価・検証は、国民の学習権の保障を紐解くために必要な情報である。
(4) PFI 事業の事業報告について
一般に、事業報告書等について、公開を前提としていない情報であっても、事業者の受ける不利益と、公開することによる公共の福祉への貢献を衡量することによって公開することによる公共の福祉への貢献度が高い場合、公開処分せざるを得ない。他のPFI事業においてもWEB上で公開している事業もある。
4、 国立女性教育会館入札結果書について
理由説明書において国立女性教育会館入札結果書については、誤って開示内容から漏れていたため、速やかにホームページ上に掲載した上で、請求者に連絡するということであったが、請求人には、そのことについての直接的な連絡はヌエックからはうけていない。250万円以上の請負契約についての情報をHP上で見つけ、驚いた次第である。
250万円以上の契約状況について、HP上に掲載されていることが、情報公開請求時に、担当者から知らされていれば、情報公開手数料26,970円を支出することなく、情報提供により知ることは可能であった。残念である。
第、4 まとめ、
法第1条において、「国民主権の理念に則り、諸活動を国民に説明する責務が全うされることを目的とする」とされている。ヌエック設立後、47年経過した現在、利用者における学習権の活用と国における女性教育指導者の研修とに大きな齟齬が生じている。請求人は、利用者の1人、地域住民の1人として、事業評価等を行い、課題把握に努めている。そのためには、本件処分1、2、3が開示され、広く国民に情報提供される必要がある。一方的な事業者の不利益に対する保護、国・県職員との率直な意見交換が意思決定の中立性が不当に損なわれるとする理由附記は、不十分であり、国のヌエックの閉鎖の政策を維持するための恣意性が強い。よって、速やかに本件処分を取りけし、情報提供をおこなうことを求める。
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